象徴派の周囲

象徴派に関する雑記、メモ、翻訳、引用など

美術

ピエール=ルイ・マチウ『象徴派世代 1870 - 1910』

翻訳者としての窪田般弥の力量はかなりのものだと思うが、本書の訳はちょっと甘いし、索引などを見てもどうもあまり使い心地がよくない。絵画史的なことを除けば、読者が知りたいのは個々の作品の原題とその訳なので、本書のように原題を故意に(?)伏せて…

悪魔とオナニズム

1996年から1997年にかけて開催された「ベルギー象徴主義の巨匠展」の図録を眺めていたら、フェリシアン・ロップスにかなりのページが割かれているのに気がついた。ロップスは、日本でもまとまった画集が出ているくらいで、わりあい人気がある画家だと思うが…

ジョン・ミルナー『象徴派とデカダン派の美術』

1976年にパルコ出版から出たもの。訳者は吉田正俊氏。この本は私には画期的だった。廉価版であり、どこの本屋でも置いてあって、しかも中を開けば珍奇な図版のオンパレードという、他に類を見ない本で、私はこれを立ち読みすることで、象徴派絵画に関する基…

ローデンバック『死都ブリュージュ』

あらすじ妻に死に別れてブリュージュへやってきた男。彼はこの死んだ町に住み、町と同化しつつ衰滅することに、倒錯した癒しを見出している。五年後、彼は亡き妻と瓜二つの女に出会う。女は芝居の踊り子。やがて二人は半同棲生活を送るようになる。男はあく…

カルロス・シュヴァーベ

私が最初に象徴派の絵を知ったのは、高校のころ買ったボードレールの対訳詩集の表紙においてだ。ペンギン版のその本に使われていた絵は、じつに衝撃的だった。この一枚で、Carlos Schwabe という画家の名前は、私の記憶に深く刻みつけられたのである。 たし…