象徴派の周囲

象徴派に関する雑記、メモ、翻訳、引用など

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

象徴詩の十字路に立って

象徴詩の世界をひとつの都市に見立てた場合、私の現在いる場所は、その中心からだいぶ離れたとある十字路だ。そこから東を見ると、リヒャルト・デーメルがいる。西を見ると、シャルル・ヴァン・レルベルグがいる。南には大手拓次がいる。北には日夏耿之介が…

窪田般彌『詩と象徴』

1977年に刊行されたもの(白水社)。本書で扱われているのは、「広い意味での象徴主義的風土に生きた文学者」たちである。広義の象徴派といってもいいだろう。まず蒲原有明。この人の『有明集』は最低限読んでおかないと、日本の象徴主義について語ることは…

ジョン・ミルナー『象徴派とデカダン派の美術』

1976年にパルコ出版から出たもの。訳者は吉田正俊氏。この本は私には画期的だった。廉価版であり、どこの本屋でも置いてあって、しかも中を開けば珍奇な図版のオンパレードという、他に類を見ない本で、私はこれを立ち読みすることで、象徴派絵画に関する基…

アンリ・ペール『象徴主義文学』

原本は1976年、訳本は1983年の刊行。文庫クセジュにおいて、前に取り上げたシュミット教授の本と入れ替えになったもの。教授のものが、大学での講義のような体裁をもっているとすれば、こっちはもっとくだけた、一般向けの講演といった趣がある。ほとんどが…

窪田般彌『日本の象徴詩人』

1963年(昭和38年)に紀伊国屋新書で出たもの。本書で扱われているのは、上田敏、蒲原有明、北原白秋、三木露風、三富朽葉、萩原朔太郎、日夏耿之介、小林秀雄、吉田一穂の九人。ところで、これらのうち、フランスのサンボリスム精神に忠実な、真の意味での…