フランス象徴派
音楽における象徴主義というのはどうも捉えどころがない。他のジャンルであれば、たとえば文学ならマラルメ、美術ならクノップフ、というように、なんとなく象徴主義の代表のようなものが思う浮ぶけれども、音楽となるとなかなかこれというのがない。いや、…
辰野隆の『信天翁の眼玉』の最後の方に次のような記述がある。「凡そ文学に於て自覚的に、徹底的に象徴に拠ったのは、恐らくダンテであるだろう。而して仏蘭西に於ては先ず、十六世紀に於けるリヨン派の詩人モオリス・セエヴをその鼻祖とする。彼の詩集『デ…
石川淳という作家は、はたして今でも読まれているのだろうか、という思いが頭をよぎる。どうも底が浅くて、すぐに飽きがくるような気がするのだ。本人はいっぱし文学の玄人のつもりで、文体もすばらしいが、かんじんの中身がすかすかなのである。しかし、そ…
ガブリエル・ヴィケールとアンリ・ボークレールとの共著で、1885年に出たもの。1885年といえば、前年にユイスマンスの『さかしま』が出て、象徴派や頽唐派への関心が高まりつつあった時期で、この『レ・デリケサンス』もそういう流れにのった本として、けっ…
ランボー、ランボー、 アル中のランボー、 へんてこな やつ。こんな替え歌(?)を作って喜んでいた子供のころの私よ……ともあれ、小林秀雄のランボーは私を驚倒させた。私も小林とともに、ランボーという「事件」の渦中にしばらくいた。しかしその波は来たと…