象徴派の周囲

象徴派に関する雑記、メモ、翻訳、引用など

中島洋一『象徴詩の研究──白秋・露風を中心として──』

昭和57年に桜楓社から出たもの。象徴詩の愛好家にはおもしろく読まれるかと思いきや、なかなかもって取り扱いのむつかしい本ではある。というのも、白秋と露風の詩集すべてについて象徴性(著者のもちいる用語で、要するにサンボリスムのこと)をまんべんなくあげつらってあるので、記述が単調、散漫になりがちで、白秋のここが、露風のここが象徴詩人として偉いんだ、という手応えのようなものが得られない。白秋、露風の全面的な愛好家でないと、本書の真骨頂は味わえないだろう。

私はといえば、白秋、露風ともに、それほど好きな詩人ではなく、アンソロジーで何篇か読めればいい、と考えているような人間だから、本書の読者としては失格だ。ただ、この本から何も得られなかったかといえば、そんなことはないと思う。いちばんの教訓は、自分が好きでない詩人や作家について、研究書を読んだところで、まったく意味はないということを思い知らされたことだ。

まずテクストを精読して、好きか嫌いかを判断すること。そしてそのうえで、好きな場合にかぎり、研究書に手を出すこと。これを今後は心掛けることにしよう。